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最後の授業

 43才の若さでガンと闘い、末に亡くなられた、電気工学を担当していたある大学教授のお話しをします。
 すい臓がんに侵され、余命6ヶ月の宣告をうけた、43才のとある大学の教授が、病を理由に退職をします。各方面で有名な教授は、長年勤めた大学で、人生最後の授業を行う事になりました。人気教授の講義が聴けるからと、この日の出席者の数は、教室から人があふれてしまうほどだったそうです。
 ところが、講義が始まってみると、教授の専攻は電気工学だったにも関わらず、この日の講義のテーマは「夢をあきらめない」と言う専門とは全く違った内容に、受講者たちは戸惑いをかくせません。
 講義が始まり、教授はモニターに自分の幼少の頃の部屋の写真を映します。そこには、壁中に落書
きだらけの写真が映し出されました。教授はすかさず「ひどい落書きだらけの部屋でしょ。これを見て、皆さんはどう思いますか?」と問いかけます。たいがいの人は「こどもを叱る・注意する」と答えます。
 しかし、教授は「私の親は怒りも叱りもしませんでした。」と言い、さらに「こどもの想像力は、夢をかなえるのにとっても大切です。その子の個性を伸ばすのに、落書きをしたからと言って、叱ったり怒ったりするのはよくありません。私の両親は決して私を叱りませんでした。でも、何でも許されたと言うことではありません。私が外でいたずらをすれば、ひどく叱られました。他人に迷惑をかけたからです。そういった事から、私は善悪の判断力を学びました。許される事、許されない事の判断力を。私は、両親にとても感謝しています。親がこどもを育てる中で、全てを導くのはいけません。判断力が鈍ります。想像力が鈍ります。そこで私からのお願いです。こどもがやろうとすることは、是非やらせてあげて下さい。」と、講堂の天に向かって語ります。
 更にスライドを変えながら授業は進み、教授は生徒席に向かって「ここにいる皆さん、どうぞ夢をあきらめないで下さい。」と言い出しました。「夢をかなえようとすると、必ず大きな壁が現れます。例えば、道を進もうとすると、大きな壁が立ち塞ぎます。覚えておいて下さい。その壁は、本気で夢をかなえようとしているかどうか、試すために現れるのです。だから夢をあきらめないで、どんなに時間がかかっても越えて下さい。」と。そして「私からのアドバイスです。自分の長所を見つけて、一生懸命生きて下さい。何年かかっても、何度挫折しても、自分の長所が見つかるまで、待ってあげて下さい。いつか必ず見つかります。夢は誰かに助けてもらわないとかなえられません。そのために自分も誰かを助けてあげて下さい。」と、言っています。
 講義の最後は「実はこの講義は、皆さんに話していたのではありません。私のこどもに話していました。」と言い、授業をビデオに記録していた事を伝えます。
 どの家庭でも親ならば、何十年かけてでも教えていく事を、80分間の授業として記録を遺し、この数ヵ月後、教授は永眠します。
 いつの日か3人の幼い子供たちが、最後の授業を見てくれることを夢みて。
    
             ~ The dream is not given up ~ 夢をあきらめない