体が疲れやすい・学校や会社に行きたくない(不登校)・眠りが浅い・身体が冷える(冷え症)等のメンタルケアやリンパスポーツマッサージ

人指しゆびが指すその先は・・・

 ある男性の話です。
 幼少のころ、両親はいつもケンカばかりしていました。夜になるとケンカが始まり、酒を飲んで怒鳴る父親の声、母親のの泣き声、子供である彼にはどうすることも出来ず、ただ耳をふさぎ、布団をかぶり、怯える毎日でした。
 父親に遊んでもらった記憶は無く、母親は毎日の日課でもある、寝る前の計算問題が解けないと、彼を叱り、手の甲をつねる、そんな毎日を繰り返す。
 彼は次第に、自分のストレスを周りにぶつけるようになります。友達をいじめ、近所の駄菓子屋でお菓子を盗み、朝早く起きて、隣近所の家に配達されてくる牛乳を飲んでしまったりと、悪いことばかりしていました。そして、夜になると父親と母親はケンカを始めます・・・。毎日がその繰り返しで、怯え・恐怖・イライラ・誰にも愛されない寂しさ、これらはいつも彼に付きまとってきます。
  時々朝になると、前の晩の両親のケンカの怒鳴りあう恐怖と、イライラから学校に行く気にもならず、そんな日は「登校したけど課外自習」と自分に言いきかせ、校門は通過するが、靴置き場でUターン。教室には行かず、そのまま独り下校して、近所の公園で遊んでから何事も無かったかのように、自宅に帰えって行く。
 当然、そんな行動は親に分からないわけが無く、担任の先生から連絡が来て、親の耳に入れば怒られます。祖母には、お線香で腕に焼をを入れられたり、押入れの中に閉じ込められたりと、今で言う「虐待」ともとれる仕打ちを受けていました。
 両親からの仕打ち、祖母の仕打ち、これらを回避するために親戚の家に逃げたり、当時飼っていた犬と家出をしてみたりと、子供心なりにどこかに救いを求めていました。

 いたずらや友達へのいじめは、どんどんエスカレートしていき、女の子のスカートをハサミで切ったり、友達に向かって石を投げつけてみたり、駄菓子屋での万引きなど、相変わらず治まらない日々が続いたある日、彼はいつものように友達にいじめをして人指しを指しながら、泣いている姿を笑っていました。その時、母親が走って駆け寄り、顔に平手打ちをしてきます。「僕は何もしていないよ!あいつが悪いんだ!」そう嘘を言って、母親の怒りを回避しようとします。しかし、母親は彼のいたずらを終始見ており、そんな嘘が通用するはずがありません。更に平手打ちが来ました。その時母親は、涙を浮かべながら彼に「人に向かって人指し指を向けるんじゃない!指を向けている手を見なさい!人指し指と親指はどこかを指しているが、あとの三本の指は、自分に向いているでしょ!人のことを笑えば自分が笑われ、人をいじめていれば、自分をいじめていることと同じなの!お母さんがお前をいつも叱っているのは、お前が憎いからでも嫌いだからでもない。お前を守るためにお母さんは必死に叱ってきたんだよ!でもお前に辛い思いをさせてきたのは確かだから、お母さんは母親として失格・・・。ごめんね」と、人目も気にせず、泣いている母親の姿を見て、彼は初めて母親の辛さと、自分への愛情を実感します。
 それ以来、彼はいたずらを止め、しばらく親元から離れ、親戚や施設に預けられながら、様々な経緯をたどり、更生していきます。
 彼が幼稚園の年長から小学校1年生のころの話です。そしてこの中の彼とは、まぎれもなく私のことです。

 子供のいじめ問題や親の虐待問題は、大人社会にも共通していえるところはたくさんあると思います。
 社内での大人のいじめ、セクハラなどは、大きな社会問題になっていますが、うつ病や自殺者問題も同じで、最初は小さなきっかけから始まることが多いと思います。
 人は人が支えて初めて人となり、また、人間という動物社会での交信手段は、言葉・声を発し、文字を書き物事を伝えること。これらを上手く使わなくては、「想い」というものは伝わりません。人を救うのは、何が大切で、何が必要なのかを伝える「言葉」なのだと思います。